はじめに
第1回と第2回では、マンション探しから契約、住戸変更、そして住宅金融公庫での借り入れまでをご紹介しました。
今回は、その後の住宅ローン返済についてお話しします。
返済期間は35年でしたが、途中で繰り上げ返済を行ったため、予定より早く完済することができました。
振り返ると、返済中にもいくつか印象に残る出来事がありました。
このシリーズの記事
- 第1回 インターネットがない時代の家探しと住宅ローン選び
- 第2回 契約後の住戸変更と、初めて知った「つなぎ融資」の仕組み
- 第3回 35年ローン返済と完済までの出来事(この記事)
1. 入居直後に慌てた「つなぎ融資」の利息
マンションへの入居を終えて間もない頃、銀行から一本の電話がありました。
「つなぎ融資の利息の入金が確認できていません。」
その瞬間、頭が真っ白になりました。何千万円という支払いの入金を遅らせてしまったのではないかと思い、心臓が縮み上がるような感覚でした。実は、公庫の本融資が始まるまで利用していた銀行口座への入金を、すっかり忘れていたのです。普段利用していない銀行だったこともあり、完全に失念していました。
慌てて銀行へ確認したところ、
「利息に利息はつけられませんから、次回まとめて入金していただければ大丈夫ですよ。」
その言葉を聞いた瞬間、心底安堵しました。特別なペナルティもなく手続きを済ませることができ、緊張が一気にほどけたのを覚えています。今となっては笑い話ですが、住宅ローン返済が始まってすぐの出来事だったため、とても焦ったことを覚えています。
2. 元利均等返済を見て感じたこと
その後、35年分の返済予定表を受け取りました。
毎月同じ金額を返済していく「元利均等返済」ですが、返済開始当初は支払額の多くが利息に充てられ、元本は思っていたほど減りません。
具体的な金額は覚えていませんが、「これでは、つなぎ融資とほとんど変わらないじゃないか」というのが正直な感覚でした。最初の数年間は、ただ利息を払い続けているだけのような気持ちになったのです。
「こんなに返済しているのに、元本はこれしか減らないのか。」
返済予定表を見ながら、住宅ローンの仕組みを初めて実感しました。当時は住宅取得減税も利用できたため、それを励みに返済を続けていました。
3. 社内預金の金利低下と最初の繰り上げ返済
購入当時、社内預金には限度額いっぱいの1,000万円を預けていました。金利は6%と高く、これを手放すのは惜しいと感じていました。
住宅資金を借りる方法はいくつかありましたが、それぞれ条件が異なっていました。
| 金利 | 条件 | |
|---|---|---|
| 社内預金 | 6% | 社内融資を受けると全額払い戻しが必要 |
| 社内融資 | 公庫よりやや低い | つなぎ融資・抵当権設定登記が不要 |
| 住宅金融公庫 | 3%台 | つなぎ融資・抵当権設定登記が必要 |
社内融資の金利は公庫よりも少し低かったものの、それを利用すると6%の社内預金を手放すことになります。それよりは、金利3%台の住宅金融公庫から借り入れて、高金利の社内預金をそのまま残す方が得だと考えました。
ところが、その後、日本全体が低金利時代へ移り、社内預金の金利も大きく引き下げられました。あれほど大事に残しておいた社内預金の優位性が、あっけなく崩れてしまったのです。
「社内融資を使っていれば、つなぎ融資も抵当権設定登記も不要で、余分な費用はかからなかったのに。」
そう考えると、失敗したという思いが拭えませんでした。社内預金さえ高金利のままであれば良かったのですが、こればかりは仕方がありません。
住宅取得減税の期間が終了した頃、社内預金を取り崩して最初の繰り上げ返済を行いました。ただ、そのタイミングは住宅金融公庫の金利区分が切り替わる時期と重なっていました。元本は減らすことができましたが、適用金利は少し上がることになり、「繰り上げ返済をすればすべて有利になるわけではない」ということも、このとき初めて知りました。
4. 完済時に起きた予想外の出来事
その後も繰り上げ返済を続け、予定より早く住宅ローンを完済しました。
最後の精算では、銀行側の計算にわずかな誤りがあり、本来より少し多い金額(確か十何円か)を支払っていたことが分かりました。もしこれが逆に少なく計算されていたら、予定通りに返済できていなかったことになります。そう考えると、金額の大小に関わらずとんでもないミスです。だからこそ、支店の課長が直接お詫びに来られたのだと思います。
その際、私は謝罪よりも、ふと思いついたことをお願いしてみました。公庫の借入なら、抵当権抹消登記を自分で行うことができます。社内預金を選ばなかったことで逃した分を、せめてここで取り返せないかという、半ば駄目もとの気持ちでした。
「自分で登記の手続きをさせてもらえませんか。」
すると、拍子抜けするほどあっさりと了承していただけました。必要書類もすぐに受け取ることができました。
5. 初めての抵当権抹消登記
抵当権抹消登記は、司法書士へ依頼するのが一般的ですが、自分でも手続きができることを知りました。
法務局の案内や資料を参考にしながら申請書を作成し、平日に法務局へ出向いて手続きを行いました。申請と受け取りで2回足を運ぶ必要はありましたが、結果的には思っていたよりもずっと簡単な手続きでした。
それでも、自分の手で抵当権抹消まで漕ぎ着けたときは、なんとも言えない嬉しさがありました。司法書士へ依頼する費用もかからず、最後まで自分自身でやり遂げられたことは、今でも印象に残っています。
全体のまとめ
振り返れば、最初のつなぎ融資のうっかりミスから始まり、金利の激変、そして最後の銀行のポカを逆手に取ったセルフ登記まで、山あり谷ありの35年(実際は繰り上げ返済で短縮)のローン生活でした。
銀行のミスを突いて「自分で登記をやる」と言い放ったあの瞬間は、長年ローンを返し続けた私なりの、銀行に対するちょっとした意地だったのかもしれません(笑)。
このシリーズの記事
- 第1回 インターネットがない時代の家探しと住宅ローン選び
- 第2回 契約後の住戸変更と、初めて知った「つなぎ融資」の仕組み
- 第3回 35年ローン返済と完済までの出来事(この記事)


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