【平成初期のマンション購入記】契約後のまさかの住戸変更と、知らなきゃ焦る「つなぎ融資」の仕組み

マイホーム体験記

はじめに

平成初期のマンション購入記、後編となる今回は、第1期契約のあとに舞い込んだ「地権者住戸」の案内と、それに伴うドタバタ劇、そして初めての購入で誰もが戸惑う「つなぎ融資」や税制の裏ワザについてお話しします。


## 1. 第1期契約後に舞い込んだ「地権者住戸」の案内

無事に頭金を支払ってしばらく経った頃、販売会社から「東側の1列を占めていた地権者住戸(70㎡超)が、一列まるごと一般販売されることになった」と連絡が入りました。

新しく売りに出された部屋は5,090万円。当初の部屋より390万円高くなりますが、西側の同じ広さの部屋に比べると割安な価格設定でした。しかも、端の部屋になるため、門扉付きの専用ポーチがつきます。

実は、モデルルーム(2階の事務所)に行く際、このポーチの門扉を開けて出入りする経験を何度かしており、「門扉付きのポーチっていいな」と密かに憧れていたのです。

広い部屋への変更には手数料もかからないとのこと。「買えない金額ではない!」と思い切り、この広い部屋へと変更することに決めました。


## 2. 【昔の裏話】先着順の受付と、今では考えられない「バイト手配」

この住戸変更は「先着順」での受付となり、平日の朝9時と決まりました。 基本的には競合はいないはずですが、万が一のタッチの差を防ぐため、販売会社の担当者から驚きの提案がありました。

「もし平日で仕事が休めなければ、受付時間前に代わりに並んでおくアルバイトをこちらで手配しますよ」

当時は今ほどネット手続きが普及していなかったため、こうした「並び屋」の手配も珍しくない、大らかな時代だったのです。

幸い私は仕事を休めたので、少し早めに現地へ向かいました。ロビーには椅子がずらりと並べられていましたが、結局ライバルは誰もおらず一番乗り。無事に希望の部屋を確保できました。


## 3. 「お金がないから借りるのに!?」つなぎ融資の仕組み

住戸変更の手続きも終わり、公庫の申し込みも完了。しかし、ここで一つの大きな疑問にぶつかります。

なんと公庫の融資が実行される(お金が振り込まれる)のは、建物の引き渡しが終わり、自分の名義にする「所有権移転登記」が完了した後だというのです。

「お金がないから借りるのに、貸す前に引渡し(名義変更)を済ませろってどういうこと!?」と、当時は大いに矛盾を感じてしまいました。

ここで登場するのが、銀行の「つなぎ融資」です。 公庫から実際にお金が降りるまでの短い期間(数週間〜1ヶ月程度)、銀行が同額を一時的に立て替えて貸してくれる仕組みです。公庫の融資が実行されるまではその「つなぎ融資」の利子だけを支払う形で、無事に引き渡しを受けることができました。

ちなみに、「つなぎ融資」と「公庫の本融資」で2回融資を受ける形になりますが、当時は購入者の負担にならないよう、本融資の登記1回分だけで済むような特例の手続きが一般的で、余計な登記費用を二重に払わずに済み、よく考えられたシステムだなと感心したのを覚えています。


## 4. 年末の引越しと、年明けの「住民登録」の裏ワザ

無事に鍵を受け取り、年末に引越しを済ませました。 ただ、住民票の異動(住民登録)だけは、販売会社の担当者からのアドバイスに従って「年明け」に行いました。

当時の税制では、住宅取得減税(現在の住宅ローン控除)の適用期間が「住民票を移した年」からカウントされていました。

もし、引越し直後の12月末に住民票を移してしまうと、その年の減税期間はわずか数日。それなのに国からは「これで1年分の枠を消化しました」とみなされてしまいます。

さらに大きな問題として、当時はまだ銀行の「つなぎ融資」で繋いでいる段階であり、公庫の本融資は実行されていません。つまり、年末時点での対象ローン残高は「0円」だったのです。 そのため、もし年末に住民票を移して1年目をスタートさせていたら、確定申告をしても戻ってくる税金はゼロ。ただただ1年分の減税枠をドブに捨てることになっていました。

年をまたいで1月に登録したことで、公庫の融資が実行されて「ローン残高が満額ある状態」で初めての確定申告を迎えることができ、丸々1年分フルに減税の恩恵を受けることができました。

年明け早々、近くの役所の出張所へ行くと、同じように手続きをするマンションの住民の皆さんで大混雑していました。


後編のまとめ(次回の「返済編」への予告)

こうして振り返ると、分厚い情報誌、社内預金の高金利、並び屋のバイト提案、そして税制の裏ワザなど、平成初期ならではの時代背景が散りばめられた、思い出深い初めてのマンション購入でした。

仕組みは少し複雑でしたが、周囲のプロのアドバイスに助けられながら、無事に満足のいく住まいを手に入れることができました。

しかし、ホッとしたのも束の間。実はこの入居直後、あの「つなぎ融資」をめぐって、銀行から一本の電話がかかってくるという冷や汗ものの事件が起きるのですが……。

次回は、その大ピンチの裏話と、35年ローンをその後どうやって返済していったのか、気になる「ローンの返済編」でお話ししたいと思います!お楽しみに!

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