【実体験】築30年マンション売却記①:査定の温度差と強気の6,780万円スタート

マイホーム体験記

はじめに

筆者はこれまでに新築マンションを3回購入、2回売却した経験があります。また自己所有マンションを賃貸に出したこと、フルリフォームを行ったこともあります。不動産売買においては、先着順に申し込もうとしてタッチの差で間に合わなかったり、抽選で落選したりと、いろいろな経験をしてきました。

この記事では、そのうちの1軒目(山手線から一駅・築30年・80戸の小規模マンション)を2024年に売却した体験を、できる限り具体的に書いています。

売却にあたっては、多くの方の体験記を参考にさせていただきました。自分の体験もどなたかの参考になればと思い、査定から契約・引渡し・税金まで、金額も含めてすべて記載しています。

最初に契約した大手不動産会社では、内覧もほとんど入らず、値下げもしたけど全然ダメでした。ところが、不動産会社を変更した直後の内覧で申し込みが入り、満額で無事売却することができたのです。

そのプロセスで気づいた「レインズの広告転載区分」の話や、物件の規模に応じた業者選びの視点は、売却を考えている方にぜひ知っておいてほしい内容です。まずは、激動のタイムラインからご覧ください。

  • 2023年7月: 新築マンション契約 ➔ 大手不動産2社の訪問査定を受ける
  • 2023年12月: 引越し日が確定 ➔ 大手不動産会社(A社)と専任媒介契約を締結
  • 2024年2月: 1ヶ月以上内覧が1件も入らず、価格を値下げ
  • 2024年3月: 3ヶ月の契約満了後、売主専門のC社と専任媒介契約を締結(価格はそのまま)
  • 2024年3月: C社との契約直後、最初の内覧で満額申し込み ➔ 無事に売買契約締結
  • 2024年5月: マンション引渡し

1. 売却物件の概要:我が家の強みと不安要素

売却した物件の概要は次の通りです。

  • 所在地: 東京都内のターミナル駅から一駅目(地下鉄も利用可能、駅から徒歩7分)
  • 規模: 総戸数80戸程度の小規模マンション(メジャーセブン分譲、1階に塾と小型スーパーあり)
  • 間取り・面積: 3LDK・70㎡超
  • 階数・向き: 南西向き5階(前面に高い建物がなく高台立地のため、日当たり・眺望は良好)
  • 築年数: 売却時点で約30年
  • リフォーム: 約5年前に約600万円かけてフルリフォーム実施(配管まで交換済み)

👍 プラス評価ポイント

5階ですが前面の抜けが素晴らしく、リビングからの眺望は抜群。幹線通り沿いですが、リビングが通りと反対側を向いているため騒音も気になりません。また、マンション業界で知られた大手再販業者によるフルリフォーム済という点も大きな強みでした。

👎 不安要素

築30年という古さ、周辺に「徒歩1〜3分」の築浅ライバル物件が多いこと。また、総戸数が少ないため、直近の売買事例が少なくて適正価格の根拠が作りにくいことが不安でした。


2. 訪問査定:A社とB社に依頼して見えた「温度差」

新築マンションを無事契約できたので(※ここまで辿り着くのにも抽選落ちなど紆余曲折ありましたが割愛します)、いよいよ売却に向けて動き出しました。まずは実績のありそうな大手2社に訪問査定を依頼しました。

B社(分譲業者の子会社)

マンションの新築当時の分譲業者の子会社です。最近最寄り駅に支店ができたこともあり期待していました。
当日は支店長と担当者の2名で来られましたが、終始しゃべるのは支店長ばかり。肝心の担当者がほとんど話に加わらない様子に「この人で大丈夫か?」と少し不安が過ります。

さらに、過去にB社自身がこのマンションをリフォーム再販した実績があるためその話を振ったのですが、「レインズ(業者間システム)に載っている実績しか把握していない」とのこと。以前は別のターミナル駅の支店が担当していたらしく、社内引き継ぎが全くされていない様子にがっかりしました。
査定額は5,000万円台後半。「リフォームが良いので6,000万円超えも狙える」と言いつつ、どこか他人事のようでした。

A社(大手仲介業者)

最寄り駅に古くから支店を構える大手仲介業者です。こちらも支店長と担当の2名体制。「地元で古くから営業しているので顧客を抱えている」というアピールがあり、査定額も6,000万円前半と、B社より少し高めの強気な提示でした。


3. A社との契約:ライバル出現と売出価格の決断

訪問査定後、売却の動きを本格化させる前に思わぬ動きがありました。B社が査定時にチラつかせていた通り、同じマンションの3階の部屋がリフォーム済み物件として、6,000万円台前半で売り出されたのです。

これを見た私の正直な感想は、「もう少し高い金額で出してくれればいいのに……」というものでした。直近の相場や値上がり率から見て、3階が6,000万円半ばで売り出してくれれば、我が家の相場も引っ張り上げられると考えていたからです。
我が家とその3階の部屋を比べると、以下のような一長一短がありました。

  • 我が家の勝ち要素: 5階なので眺望が絶対に良い。専有面積もこちらは70㎡超で広い(向こうは70㎡未満)。
  • 我が家の負け要素: 向こうは「リフォームしたて」。こちらは「綺麗」と言われるもののリフォームから5年経過。

このライバル出現に対して、本命だったはずのB社からは今後の作戦について一切連絡がありませんでした。一方で、こまめに連絡をくれたのがA社です。3階の売り出しについて「結構、安い金額で出してきましたね」と私と同じ見解を示してくれました。その後、その3階はまさかの値下げを敢行し、6,000万円を切る金額であっさりと成約してしまいました。

結局、その後もB社からは連絡が途絶え、連絡を絶やさなかったA社を信頼することに。引越し日が決まった翌日、年末という絶妙なタイミングで連絡をくれたA社と専任媒介契約を締結しました。

欲と戦略の「6,780万円」スタート

半年前に比べて相場が上がっているとのことで、売出価格は強気の6,780万円に設定しました。これには私なりの計算がありました。

💡 価格設定の狙い
もし売れなくても、300万円下げれば「6,480万円」になる。買い手がネット検索でフィルターをかける「6,500万円の壁」をギリギリ切ることができるため、あらかじめ値下げ幅を織り込んだ設定にしました。

担当者には「引越しまでに売れたらめっけもの。本格的な勝負は引っ越して空き家になってからでいい」と伝え、少し余裕を持った気持ちでスタートしました。


4. A社との3ヶ月:ガチガチの規約、内覧ゼロの焦り

ここから、改めて「A社」との実際の販売活動が始まりますが、大手の洗礼とも言えるトラブルと停滞が待っていました。

① コンプライアンスの壁と図面トラブル

販売活動を始めるにあたり、管理費の内訳や総会議事録3期分、長期修繕計画書などの提出を急かされ、年内に何とか広告掲載まで漕ぎ着けました。しかし、ここで問題が発生します。
我が家はリフォーム時に和室を洋室に変更し、リビングを広げていました。リフォーム会社の図面をもとに掲載しようとしたところ、A社から「元の新築時の図面と寸法が合わないため、図面に畳数表示ができない」と言われたのです。
さらに、リビングと一体化している洋室が「納戸(S)」表記になってしまうトラブルも。大手なので間違った表記に対するコンプライアンスが異常に厳しく、リスクを取らない姿勢のようで、調整に大苦戦。設計図の確認と実測を経て、ようやく「2SLDK」から「3LDK」の表記になるまで、かなりの時間をロスしてしまいました。

② 微妙だった有料クリーニング

オプションで水回りのクリーニング(キッチン、洗面所、トイレ、風呂)を選択しました。ブログなどで「水回りが命」と見ていたので期待したのですが、半日がかりの作業のわりに効果は微妙……。
いわゆる「写真に写る表面だけ」の清掃で、一番汚れる魚焼きグリルの内部などは対象外でした。実際、その後の内覧でも水回りをじっくり見られることはなく、我が家のケースではあまり効果は感じられませんでした。(プロカメラマンによる写真撮影は、さすがに綺麗に写してくれましたが……)

③ 1ヶ月以上「内覧ゼロ」の恐怖

図面が完成し、折り込みチラシも打ってもらいましたが、全く問い合わせが入りません。チラシを見ると、周囲の安い物件の中で我が家だけが最高額でポツンと掲載されており、ただ「割高に見えるだけ」の最悪な見栄えでした。チラシの掲載も、売り出し時と値下げ時の計2回だけ。
1ヶ月以上内覧ゼロという現実に、あせるつもりはなくても「本当に売れるのだろうか……」「徒歩1分圏内の築浅に負けているのか……」と悪いことばかり考えてしまい、A社にクレームを入れるほど不安が募っていきました。

初の値下げ決断

2月に入り、A社から値下げの提案を受けました。担当者はコンプライアンスの縛りがある中で図面引きや計測など実務はよくやってくれていたので、裏切るつもりはありませんでした。ただ、「内覧ゼロ」という事実は重いです。例の3階の部屋が6,000万円以下で成約したことも頭をよぎり、当初の作戦通り6,480万円への値下げを決断しました。

値下げ後の内覧2件(しかし成約ならず)

値下げ後、ようやく動きが出ます。

  • 1件目(ご夫婦と娘さん): リビングからの眺望を「5階でこの抜け感はなかなかない」と大絶賛。ゴミ置き場まで階段で案内するなど手応えはありましたが、結果は「手持ちの現金を確保する必要が出た」との理由で見送り。
  • 2件目(旦那様お一人): お子様の発熱で急遽お一人での来宅。眺望に驚き、奥様向けに写真を撮って帰られましたが、もともと近傍ですが別エリアで探していた方をA社が無理に連れてきたような形だったため、エリアの壁を越えられずお見送り。

3ヶ月間で内覧はわずか2件。値下げをしたにもかかわらず、全く手応えがないままA社との契約満了が近づいていました。「本当にこのまま大手に任せていていいのだろうか?」

焦りを感じた私は、セカンドオピニオンを求めて売主専門の不動産会社(C社)の門を叩きます。そこで明かされたのは、大手不動産会社がひた隠しにする「内覧が入らない本当の理由」でした。

[第2弾:【業者変更の裏側編】「囲い込み」の罠とエージェント制の衝撃]


この記事は筆者の実体験に基づく情報提供を目的としています。不動産売買・税務に関する判断は、専門家にご相談のうえ、ご自身の責任で行ってください。

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