はじめに
本記事は、新築マンション購入に伴い、築30年の自宅を売却した体験記の**第3弾(完結編)**です。
大手仲介会社での3ヶ月で内覧わずか2件という停滞から、売主専門のC社に乗り換えた途端、事態は急展開を迎えます。
7. C社への変更翌日、まさかの「1発満額成約」へ
A社との契約が満了し、C社と正式に媒介契約を結びました。
すると、C社の言った通り、SUUMOを開くと驚くほどたくさんの異なる不動産会社名で、我が家の物件が一斉に掲載され始めました。最初は「同じ物件が乱立して怪しく見えないか?」と半分不安でしたが、動きの速さはA社の比ではありませんでした。
引越しの搬出を終えた翌日の月曜日。
本来ならC社に部屋の鍵を預けるだけの手筈だったのですが、朝一番でC社から連絡が入ります。
「本日、さっそく内覧希望が入りました。鍵を新居まで取りに伺っていいですか?」
引っ越したばかりの新居でバタバタと鍵を渡し、「幸先が良いな」くらいに思っていました。しかし、すんなり行く時は本当に一瞬です。その日の夜、C社から震えるような連絡が入りました。
「先ほどの内覧の方から、満額の6,480万円で申し込みが入りました」
……正直、耳を疑いました。
あのA社との泥沼の3ヶ月、必死に行った実測トラブルのやり取り、内覧が入らずに胃を痛めた日々、あれは一体何だったのか。狐につままれたような気持ちのまま、翌週末には売買契約の席に座っていました。
後から聞いた話では、やはり多くの業者に広告が開放されていたため、C社ではない別の不動産会社が抱えていた「このエリアで予算6,500万以内の優良物件を探していた顧客」に一瞬でマッチングしたとのことでした。
8. 契約・引渡しの実務と、ちょっとした失敗談
ここからは、実際の売却実務におけるリアルな注意点と私の失敗談をまとめます。これから売却する方は絶対に気をつけてください。
① 週末の契約は「いまだに現金手渡し」がある
事前の確認で、手付金は「振込」と聞いて安心していたのですが、直前になって「週末で銀行が閉まっているため、やはり現金受け渡しで」と言われました。今時、何百万円という大現金を封筒で受け取り、自宅まで持ち運ぶのは心臓に悪いです。週末契約になる場合は、現金の手渡しになる覚悟をしておいた方が良いです。(ちなみに、こちらがC社に支払う仲介手数料の半金は「振込で」と言われ、しっかり振り込みました笑)。
② 引越し後の「インフラ(電気)」の罠
引っ越して空き家になっても、次の買い手が見つかるまでは売却活動(内覧など)が続くため、インフラの契約に違いが出ました。
- ガス: 即解約して止めてOK。
- 水道: 完全に止めると排水トラップが干上がって臭気が出るため、少量を流すために契約継続が必要。(コンプライアンスにうるさいはずのA社からは、少量なので契約解除して問題なといわれました・・・・)
- 電気: 内覧時の照明やエアコン(20Aに下げて継続)のために必須。
ここで私は失敗しました。ガスの解約はすぐ対応してもらえたのですが、電力会社は手続きの締め切りが早く、引越し当日に間に合わず、翌日付けの変更になってしまいドタバタしました。空き家売却時の電気の手続きは早めに行うことをお勧めします。
③ 印鑑証明書の「3ヶ月ルール」と住所変更登記
引渡しは平日にC社の事務所で行いました。必要書類の中に「3ヶ月以内の印鑑証明書」があります。私は引越し前に「3ヶ月以内に売れるだろう」と見越して旧住所のものを取得していました。
もし売却が長引き、引越しから3ヶ月を過ぎてしまうと、新住所での印鑑証明書が必要になり、それに伴って「住所変更の登記」という余計な費用と手間が発生します。スケジュールは常に意識しておくと安心です。
9. 売却の損益と税金
損益の概算
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売却価格 | 6,480万円 |
| 購入価格 | △5,090万円 |
| 仲介手数料(※法定上限換算) | △約220万円 |
| 手取り概算利益 | 約1,170万円 |
※実際の取引では個別交渉や諸経費(登記費用等)の精算がありましたが、ここでは一般的な法定上限(3%+6万円+税)をベースに試算しています。なお、フルリフォーム費用(約600万円)については、後述の通り取得費への算入を行いませんでした。
フルリフォーム費用の取得費算入について
リフォーム費用が売却時の取得費に算入できるかどうかは、「自己使用期間」ではなく「販売費用かどうか」という観点で判断されます。
たとえば水回りの設備交換は、瑕疵担保責任を負う対象として評価されるため、減価償却分を差し引いたうえで取得費に算入できる可能性があります。一方、エアコンや照明器具のように残置物として扱われるものは算入できません。
今回のリフォーム費用600万円の中には、配管交換などの水回りだけでなく、シーリングライトなども含まれていました。算入可能な部分と不可能な部分を仕分けして減価償却の計算をするのは、それなりに手間がかかる作業です。
実際にはどうしたか
3,000万円特別控除(後述)が適用される見込みがあったため、リフォーム費用の算入作業は行いませんでした。結果的に、算入しなくても課税ゼロとなりました。
ただし、売却益がより大きい場合や特別控除が使えない場合には、この算入作業が節税につながることがあります。売却前に税理士に相談することをおすすめします。
3,000万円特別控除と確定申告
居住用財産(マイホーム)を売却した場合、一定の要件を満たすと譲渡益から最大3,000万円を控除できる制度があります。
今回の譲渡所得(概算620万円超)は、この3,000万円の控除枠に完全に収まりました。さらに、建物部分の減価償却による取得費の減額も考慮しても、課税対象にはなりませんでした。
保有期間20年超という点も有利に働きました。5年超保有の場合は「長期譲渡所得」として税率が低く(約20.315%)なりますが、今回はそもそも課税ゼロだったため、税率の恩恵は直接受けませんでした。
確定申告は必要でしたが、納税はゼロという結果でした。
※ 3,000万円特別控除の適用条件(転居後の売却タイミングなど)は状況によって異なります。必ず税理士または税務署にご確認ください。
10. おわりに:同じ状況の方へ4つの教訓
3ヶ月間、大手仲介業者と契約して内覧2件・値下げという苦労を経験しましたが、業者を変更した翌日に満額成約という結果になりました。振り返ると、A社とのあの3ヶ月間は情報の囲い込みのせいで完全に無駄な時間だったと感じています。
ただし、「大手仲介会社がすべて悪」というわけではありません。
例えば、私が2軒目に購入したような「1,000戸クラスの大規模タワーマンション」などの場合は、むしろ実績のある大手を選ぶメリットが大きいです。流通数が多いため価格のミスマッチが起きにくく、社内に「そのタワマン限定で空きが出るのを待っている顧客」のリストが豊富にあるからです。買主側も大手を信頼して探しているケースが多いため、販売実績が多数ある大手を選択するのが正解になります。
つまり大切なのは、「自分の物件の規模や特性に合わせた業者選び」です。私の体験を踏まえ、同じような状況の方へ4つの教訓をお伝えします。
① 自分の物件の「規模」に合った業者選びをする
1,000戸クラスのメガタワマンなら「実績多数の大手」が強いですが、我が家のような80戸規模のマンションで直近の社内実績が乏しい場合は、大手の「囲い込み(広告不可)」のデメリットばかりが際立ってしまいます。物件の特性を見極めて業者を選びましょう。
② 仲介業者との契約前に「レインズの広告転載区分」を確認する
この点を知らずに大手と契約してしまうと、他社が積極的に動いてくれない「情報の孤島」状態になります。特に小〜中規模マンションを売る際は、契約前に「広告転載区分は『可』にしていただけますか?」と必ず確認することをおすすめします。
③ 業者変更は早めに決断する
「もう少し待てば内覧が入るかも」と思い続けてしまいますが、適切な価格のはずなのに内覧がゼロという状況が1ヶ月以上続くなら、裏で囲い込まれている可能性があります。媒介契約は3ヶ月が一区切りですが、状況によってはもっと早く動いて(他社の意見を聞いて)よかったと感じています。
④ 税金は売却前に「3,000万円特別控除」の適用可否を確認する
居住用財産の売却では、この控除が使えるかどうかで手取りが何百万円も変わります。転居後の売却の場合など、適用条件が複雑なケースもあるため、売却活動と並行して税理士や税務署に相談しておくと安心です。
あまり悪口ばかりを書いてはいけないと思いますが、大手不動産仲介業者だからといって、必ずしも売却がうまくいくとは限らない例があったということは紛れもない事実です。
不動産業者選びは本当に難しいですが、この記事が皆さんの大切な資産を正しく売却するためのヒントになれば幸いです。
この記事は筆者の実体験に基づく情報提供を目的としています。不動産売買・税務に関する判断は、専門家にご相談のうえ、ご自身の責任で行ってください。


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